悲劇の始まり
それはとある日の午後のことだった。
突然リビングから奥さんの叫び声が聞こえてきた。
悲鳴というよりかは、腰を抜かしたような驚きの声だった。
絶句しているといったほうが近いのかもしれない。
その原因となったのはお米が入った小さな袋・・・。
そのお米はいつものように通販で買った普通のお米ではなく、
親戚から頂いたお米でスーパーにあるロール型ポリ袋に入っていた。
ただそもそも我が家は奥さんと二人暮らしな上に白米を食べるのは
自分だけだったので頂いたお米にはなかなか手が回らずに貰ってから
半年以上は放置された状態になっていた。
そんな放置されたお米の袋を持った奥さんから挙がった驚きの声。
普通ならすぐにその理由を教えてくれるところなのに奥さんはなぜか
よそよそしそうにそのお米の袋をいきなり台所のゴミ箱に投げ入れた!
その一部始終を見ていただけにもの凄く気になる・・・。
「一体何があったのか!?」
しかも奥さんはそれを隠そうとしている。
米の袋に浮気相手でも入っているかのような態度である。
いや、本当は浮気相手に貰った米なのか?
訳のわからない思考が一瞬脳裏によぎったがそこは冷静に聞いてみた。
「どうしたの?」と。
すると始めは誤魔化そうとしていたが、観念したように教えてくれた。
「なんかお米に虫が混ざってた」
まあそんなに経験したことはないけれど、食品に虫が混入しているのはそこまで珍しいことでもない。
ただそれであれば「やだ、虫が入ってるんだけど!何これ?」みたいな感じで言ってくれればいいのに、なぜちょっと隠すようにゴミ箱に捨てに行ったのか?が気になったので聞いてみると・・・、
「本当に引くぐらい大量に虫がいたから」と奥さん。
そこまで言われたらもう見ずにはいられない!
ゴミ箱に捨てられたお米の袋を取り出して来てもらって自分も確認する。
そこには今まで見たことがない驚愕の光景が広がっていた。
今ならばスマホで写真を取ってこのサイトに載せるべきだったと思ったけど
その時はあまりの気持ち悪さにそんな心の余裕はなかった。
米の中に米と同じぐらいのサイズの黒い粒々がたくさんあってその粒々が
米の中でウゴウゴとうごめいていたのだ・・・・。
見た瞬間に鳥肌がブワッと噴き出た感覚。
とにかく気持ち悪い。
確かに奥さんがすぐに捨てたくなる理由もわかる。
それにプラスして食材の管理や保管は基本的に奥さんがやっていたのでそこまでの状態に
なるまでそのお米を放っておいた責任も少し感じていたのだろう。
でもまあ、気付けて良かったみたいな感じでそのお米の入った袋を捨てて終了。
その時はそれで全てが終わったと思っていました・・・。
しかし、これが僕達と「ノコギリヒラタムシ」との初めての出会いだったのです。
今思えばこの事件が終わりの始まりでした。
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