第5章 ノコギリヒラタムシ大繁殖の真実・・・
何度も何度も「無効化」しても次々に出現するノコギリヒラタムシ。
果たして我が家には全部で何匹のノコギリヒラタムシがいるのか・・・。
例えば仮に3万匹いたとしても、その数がわかれば0になるまで駆除すればいいのですが、一体何匹のノコギリヒラタムシが我が家に潜んでいるのかはわかりません。
ゴールなきマラソンを走っているような虚しさを感じます。
終わりなき駆除に夫婦揃って疲弊していました。
少し前までは「うわっ!まだいるよ!」とか、「ここにもいるんだけど!」などノコギリヒラタムシを見つける度に何かしらの言葉を発していたのですが、このぐらいになると無言でサッと無効化するようになっていました。
もう繁殖していてもなんでもいいから「我が家にいるノコギリヒラタムシの数が表示されているカウンターが欲しい」と訳のわからないことも言っていました。
軽く絶望していながらも、希望だけは捨てていませんでした。
迷宮入りとなってしまった事件を地道な聞き込みで解決しようとしている刑事の如く、毎日のように家のちょっとした隙間などにノコギリヒラタムシの発生源がないか調べていました。
そんなある日、事件は大きく動き出します。
僕がふと壁際を中心にノコギリヒラタムシの発生源を探している時でした。
これまで何度か発生源となっていたまだ食べていないお米を収納していたキッチンカウンターの周辺で大量のノコギリヒラタムシの死骸を発見します。
一番最初の発生源と二番目の発生源であるキッチンカウンターの引き出しはすでに奥さんが発生していたノコギリヒラタムシを駆除して綺麗に掃除していました。
その時に引き出し以外のスペースに関して、
「こっちにもノコギリヒラタムシが移動してそうじゃない?」と言うと、
「そっちは見たけどいなかったよ」と奥さん。
なので自分の中ではキッチンカウンターはもう発生源ではないと信じ込んでいました。
しかし、なぜかキッチンカウンターの扉の側でノコギリヒラタムシが大量に死んでいます。
「なんでまだこんなところにノコギリヒラタムシがいるんだろうね?」と奥さんに言うと、「ん〜、なんでだろ・・・・ハッッッッッッッッッッッッッ!!!」
文字にするとこれぐらいビックリしているというか、何かを閃いた感じだったのですが顔だけはなぜか青ざめた感じでキッチンカウンターの扉を急に開けだしました。
そしてキッチンカウンターの扉(左)側の収納から白い袋を取り出して無言で捨てようとしています。
これだけ不自然すぎる態度を見せられては刑事気分の僕としては職務質問せざるを得ません。
「どうしたの?」と聞くと、奥さんは全てを白状しました。
奥さんがキッチンカウンターから取り出した袋に入っていたのは・・・「玄米」。
健康だかダイエットに良いとかで一時期ハマって食べていたけどすっかり熱も冷めてそのまま放ったらかしにされていた玄米の袋でした。
少なくとも1年以上は放置されていたと思われるその玄米の袋からはこれまでに見てきた以上のノコギリヒラタムシが大繁殖していて、見た目はもう玄米の粒よりもノコギリヒラタムシのほうが多いんじゃないか?って程の繁殖っぷりでした。
あまりにも気持ち悪すぎてすぐにゴミ捨て場に捨ててしまったのですが、今となってはもっと色々な写真を撮っておけばよかったと後悔しています。
しかし、この時ほど複雑な気持ちになったのは結婚して初めてです(笑)
「なぜ食べもしない玄米を捨てない?」
「なぜ最初に聞いた時にいなかったなんて嘘をついたんだ?」
「よく最初の頃に家の外から入ってきてるなんて適当な主張してたな〜」
などなど、ツッコミどころ満載なのですがあまり言うと奥さんがふて腐れて口を聞いてくれなくなるのでとりあえず一言だけ・・・、
「もう玄米とか買ってこないでよ。」
と、震える声で言いました。
とは言え、玄米に湧いていたおびただしい数のノコギリヒラタムシを見ればこれが発生源なことは間違いありません。
侵入経路は玄米が先なのか、親戚にもらったお米が先なのか?まではわかりませんが、玄米で大繁殖を繰り返していたのは間違いありませんでした。
ノコギリヒラタムシは特定の場所で大繁殖して数が過剰になると別の繁殖場所を求めて団体で移動するのだそうです。
この習性が我が家の至るところでノコギリヒラタムシが発生していた原因だと思われます。